内閣府推計70万人といわれている引きこもりは、世界的に見ても異例の数字で社会問題とされています。しかし厚生労働省推計では25万5000人とか・・・
ひと口に引きこもりといっても運ばれてくる食事を摂り、トイレに行く時以外は部屋から出てこない人もいれば、家族が寝静まった頃にコンビニなどに出かけてゲームの課金だけは切らさずに生活を続けるニートの引きこもりもいます。
何らかの精神疾患を伴っているのか、対人関係がうまくいかずに引きこもっているのか、働かないから引きこもりと呼ぶのか、引きこもりの定義が難しいので人数に大幅なズレがあるのが伺えます。
さて、またうちの息子の話で恐縮ですが、息子も引きこもりグレーゾーンの生活を何年か続けています。グレーゾーンといったのは、息子は現在は自宅から1歩も出ないで収入を得ているからです。
息子は小学生の頃からADHDの症状があり、とても活動的な子どもだったのですが、対人関係で我慢をすることが苦手で、ケンカが多いのが悩みでした。
ケンカといってもけっして暴力的なタイプではなく、相手の話を聞かずにどちらかというと理詰めで相手を論破しようとするので、先に殴られる方のタイプだったと思います。
対人関係が苦手でも商品の説明やプレゼンテーションなどは定評があり、仕事の成績はまあまあでした。しかし通信関係の仕事で派遣された先が超ブラック会社で、酷いパワーハラスメントにあい、うつ病と診断されて退職しました。
息子はそれ以降、勤めに出ることを一切拒否しました。高校生の頃に「働いたら負けだと思う」と言っていたので実践に移してきたのです。職業は、「自称・自宅警備員」のニート宣言でした。
息子は、うつの症状が酷い時は1日中寝てばかりいました。うつ病というのは辛いもので、何もやる気が起きないし、食事もしたくない、生きているのも面倒と感じるようです。
その人ごとに症状は違うと思いますが、息子の場合は症状が重い時は、会話をするのもベッドから起き上がるのも面倒で、幸か不幸か、自死すら面倒だったようです。
半年くらいして元気になって1人でコンビニに行くことや病院に行くことができるようになった頃が1番危険な時期だったと思います。
家族から「いつまでもゴロゴロしていないで働きなさい」などと言われると「働かなければいけない」と言うプレッシャーと、再び職場での出来事を思い出してストレスで気分が悪くなってしまうのです。
ですから、見た目にはうつ病が良くなってきていても、本人が働きたいと言い出すまでは無理強いしない方が良いのです。親のエゴかも知れませんが、引きこもりでいる間は目が行き届くので、自死される心配が無く安心でした。
息子は中学生の頃から「ゲーム廃人」と言われるくらいゲーム好きだったので、うつ病の症状が軽くなると、寝ないでゲームをするようになりました。しかしゲームを続けるには課金が必要なのです。
うつ病で何もしたくないという症状から、ゲームがしたいという欲求が出てきたのです。しかし引きこもりでニートだから課金をするお金が無い。そこで息子は、「引きこもりを続けながらお金を稼ぎたい!」と考え始めました。
仕事で考えたのは、まず事業主として届け出を出し、自宅に居ながら人から雇われるのでは無く、自分でお金を稼ぎ出すこと。絶対譲れない条件は、1日中好きなだけゲームができること。
息子は自分自身で目標通り家から1歩も出ないでお金を稼ぐ方法を思いつき、今は小売業の自営業者として納税できるまでになりました。
納税者なので、引きこもりは続けていますがニートの呼び方は卒業です。もう少し納税できるようになったら引きこもりグレーゾーンの呼び方も撤回してあげようと思います。