多くのお母さんがよく誤解されているのですが、子どもが引きこもっている原因は「家が好きだから」と言うのは誤りです。
「お母さんが好きだから家にいる」と言うのも誤りです。
引きこもっている人は、社会に出て自分が傷つくのが怖いから家にいるのです。お母さんのことが嫌いだから、家庭環境に不満があるから、そんな自分に気付いて欲しいから家にいます。
現代の反抗期
昔の子どもには親に殴りかかるとか、物を投げつけて壁を壊すなどの反抗期がありましたが、現代の子どもたちにはほとんど見られません。
現代の子どもにだって社会や家庭環境に対する怒りの感情はあります。
「家を壊すとか暴れても疲れるだけだし、無駄だから」と言って行動を起こさない。
もしくは、「暴走族とか、暴れるのダサい」と怒りの感情さえ湧かなくなっている子どももいます。怒るにはパワーが必要なのです。
同じ髪型の母子
令和の両親は優しくて、げんこつで頭を殴るような昭和の雷おやじは姿を消し、まるで姉妹のように母親と娘の仲の良い家庭が多いのが特徴です。
現代の女の子は、恋愛の相談や秘密は友達に打ち明けずに母親に話します。
大学の卒業旅行も友達とでは無く家族と行く学生も多くいます。
母娘で同じブランドの服を着たり、バッグを持つのも当たり前。
母親の様な専業主婦になりたいと希望する相似形の母娘です。
しかし、父親と同じレベルの結婚相手を見つけることは再びバブル景気でもやってこない限り困難です。
理想の子どもの姿
現代の子どもたちは、親の言付けを素直に聞き、親の勧める習い事を掛け持ちでこなし、親の勧める学習塾に通います。
親の期待に応えようとプロを目指してスポーツに励む子どももいます。
子どもたちも昔に比べれば習い事にかかる教育費が跳ね上がっていることを知っていて、両親に対して習い事をさせてもらえることを素直に感謝しています。
自分で敷いたレール
現代の子どもたちは優しい子が多く、親は教育熱心で、親子共に暴力を振るうようなことはありません。
子どもは親の期待に応えようと頑張って大学受験をしますが、人を蹴落としてまで何が何でも有名大学に入ろうとするようなタイプは少なくなり、とりあえず大学に入ってから自分にあった道を探そうとしています。
親の敷いたレール
親が勧める大学に浪人をせずに現役で通って卒業し、親が喜ぶような企業に就職して、まさに親の敷いたレールの上を順風満帆に走るのですが、就職後に初めて挫折を味わうことになります。
初めての挫折
学生時代までは、親の喜ぶことやったり、親の勧めに従う「素直な良い子」を演じていれば良かったのが、就職して半年もすると先輩の指導も無くなり、何でも自分で考えなければならなくなります。
新入社員の頃は優しい上司だったとしても、半年、1年も経てばミスをしたりノルマを達成できなければ叱責される事があります。
ところが、それまで順調に来た「育てやすい良い子」ほど、叱責されることに慣れていないのです。
学生時代に良い子や優等生だった人は、それまでは親から「あれをしなさい、これをしなさい」といった指示待ちの人生です。
素直な良い子は「言われたこと」は、そつなくこなせるのですが、自分で考えて行動することは苦手です。
認知の歪み
極端な人は、上司から「次は頑張りなさい」と言われたことを叱責されたと感じてしまったり、「いつまでも学生気分でいるんじゃない」と言われて、「この会社は自分には合いません」と言って退職(翌日から出社拒否)してしまった例もあります。
転職活動しようとしたけど「何となく面倒だから」と言う理由で転職活動をあきらめてニートを始める人や、何社か面接を受けたが上手くいかなくて自信を無くして引きこもってしまう人もいます。
認知の歪みはカウンセリングで修正することが出来ます。
起業・社長・億り人の罠
現代の若者は素直な良い子なので、やはり心のどこかで親の期待に応えたいと言う思いが強いようです。
インターネットで「起業してサラリーマンの数倍の収入を得られた」等の記事を読んで「自分は起業が向いていそうだから」と思って情報商材の購入に大金をつぎ込んだが騙され、自信を無くして引きこもる人もいます。
優しい良い子だった人は、学生の頃からの指示待ちの癖が抜けていないので、インターネットの情報に振り回されやすい傾向があります。
騙されたことを親に言えずに抱え込んでしまい、対処法をインターネットで調べてさらに借金を重ねてしまう人もいます。
インターネットには、「会社にしばられたくないなら起業すれば良い。サラリーマンの数倍も楽に稼げる」と言うような広告がたくさん出ています。
ここでもまた、自分で考えずに他人が敷いたレールに乗ろうとしています。それに気付かずに指示された通りにやれば楽に儲かると思っているのです。
生活保護制度の行方
何度も面接に落ち続ければ、自信が無くなるのも当然です。
でも、引きこもりを続けていたら引きこもっている年数が長ければ長いほど、社会復帰は難しくなります。
現在、61万人いる引きこもり。世代別では40代がピークです。
引きこもりの子どもが50歳になる頃に、親は80歳になります。
親の死亡などにより年金がなくなったら生活保護をあてにしている人が数十万人います。その全員を救う体力が日本経済に残っているでしょうか?
引きこもりは家が好きだから家にいるのではありません。
傷付きたくないから引きこもっているのです。
自分に向いている仕事を見つけて、老後を見据えた1日でも早い社会復帰をお勧めします。