お子さんが部屋に引きこもっていて学校に行っていない。話しかけても何の返事もしてくれない。話しかけると機嫌が悪くなるので、子どもの顔色を伺いながら親の方がコソコソと音を立てないように生活している。子どもと話が出来ないので、体の具合が良いのか悪いのかすら分からないというお話をよくお聞きします。
親の世代の引きこもりといえば、家庭内暴力を振るうとか、クラスメイトにいじめられて2階にある子供部屋から出てこない子どもに食事を運んで来たお母さんが、ドア越しに「ご飯、廊下に置いておくからね」と声をかけると食事を投げ捨てるドラマのシーンが思い浮かぶかと思います。
ところが現代の引きこもりは様子が全く違います。引きこもりですが、毎日コンビニエンスストアに行くことだって出来るし、人込みが大丈夫な人なら、連日数万人が押し寄せるコミックマーケットに毎年参加する人もいます。
オンラインゲームの課金が切れそうになれば、コンビニエンスストアに行って入金することが出来るし、10連ガチャが生きがいになっていて、外にアルバイトに行かなくてもメルカリの転売やゲームのアカウントを売ってゲーム代金を稼ぐ知恵を持っている「つわもの」もいます。
コンビニエンスストアに行けるのだから、「引きこもりではない」のかと言うとそうでは無くて、学校に行かず、定職に就いて仕事をすることを拒否しているのならやはりニートの引きこもりです。
現代の引きこもりの子どもたちは、インターネットを使ってしっかり友達同士のつながりを持っています。得意な分野を持ち寄って自分たちでコミュニティを築きあげて企業する人もいます。
この場合は、何の心配もありません。子どもたちは、インターネットを使って様々な知識を吸収し、企業で働かなくても自分で収入を得る方法を見つけ出し、自分自身の力で生きる術を身に着けている訳ですから、むしろお子さんを誉めてあげるべきです。
もしも親が、子どもが学校に行かないからと怒ってパソコンを取り上げてしまうと、子どもは生きる気力を失ってしまいます。「ネットでもリアルでもボッチ」の環境は良くありません。インターネットは、外の世界とつながる命綱なのです。
お子さんが引きこもりの親御さんに注意していただきたいのは、引きこもりが長引いてうつになってしまった場合です。引きこもりは通院しなくても良くなる場合がありますが、うつの場合は自然に治ることはほぼ有りません。治療開始が遅れると苦しい期間が長引くことになります。
お子さんが引きこもっていて部屋から出てこない場合や、最近会話をした記憶が無い場合でも、うつかどうか判断する方法があります。1番分かりやすいのが、お風呂です。うつは全ての欲求が無くなりますので、顔を洗わなくなります。外に出ないから服を着替えなくなり、疲れるから湯船に入らなくなります。
「お風呂に入って体を洗うのが面倒だからシャワーだけで良い」と言うのは生きる欲求が少なくなった黄色の点滅信号です。もし、「水が怖いから湯船に入りたくない」と言ったら危険信号です。直ぐに心療内科を受診することをお勧めします。