心理カウンセリングには、愛着障害という言葉が良く登場しますので、場合によっては「愛着」と「執着」を混同して「愛着を持つ」ことは良くないことのように感じている人が居るかもしれませんが、「愛着を持つ」のは良いことです。
アニメーションの中で、小さな子どもがお気に入りの毛布を引きずって「ママ?ママはどこ?」と言いながら目をこすりこすりベッドから起き出して来てママを探すシーンは、誰が見ても愛おしく感じることでしょう。
子どもの中には、3歳を過ぎてもお気に入りの毛布がなかなか手放せないという子を多く見受けます。
アニメーションの中の子どもにとっての毛布は、絶対手放したくないお気に入りの宝物で、これさえあれば落ち着く「愛着のある品物」です。
愛着とは
しかし、心理学でいう「愛着」とは、赤ちゃんの時期から子どもの時期に、ママに対して持つ情緒的な結びつきのことをさします。
「愛着」とは、赤ちゃんがママと情緒的な結びつきを持つことで、こころとからだの安全を守れる本能的な生きる知恵なのです。
赤ちゃんに愛着を感じるのは
生まれたばかりの赤ちゃんでさえ、ママが自分のことをお世話してくれるように仕向けるための仕組みが出来ています。
女性が赤ちゃんの丸顔の輪郭や、テディベアのような頭が大きくて目がくりっとしていてフワフワな物を本能的に好む傾向があるのはこのためです。
たいていの子どもは幼児期に愛着関係をママとの間に築きます。
愛着行動とは
愛着関係の中に愛着行動があります。
乳児期の愛着行動は、「ぐずって泣く」など、ママを呼んでお世話をしてほしい時などの行動をさします。
赤ちゃん期の愛着行動には、ハイハイ時期の「後追い」、ママ以外には抱っこされない「人見知り」などがあります。
愛着障害とは
愛着障害は、幼児期に児童虐待や育児放棄などで親から十分なお世話がされず、ママとの間に愛着行動が形成されなかった場合に起きます。
愛着障害とは基本的に子ども期の障害をさし、大人になって愛着障害ですと診断されることはありません。
愛着障害が残ったまま親になると
愛着障害のある子どもは、成長しても人と関わり合いを持つことが苦手です。
見捨てられ不安が強かったり、会社で人との関わりを避けて孤立したりします。
万引きや、援助交際などの問題行動を引き起こすことも多く、今や社会問題となりつつあります。
一昔前でしたら、夫婦の縁は切れても親子の縁は切れないものだと言われていましたが、最近では我が子でもしつけと称した児童虐待、親殺し、子殺しなどのニュースが後を絶ちません。
我が子が愛せない時は
アダルトチルドレンなどでどうしても自分の子どもが愛せない場合があります。まずは、自分の治療を認知行動療法などで行なって負の連鎖を避けたいものです。
どうしても傷つけてしまいそうな場合は、行政のサービスを利用するなどして、一旦は子どもを手元から離すのも1つの方法です。
困った時は人に頼って良いのです。何としてでも愛着行動の形成時期を乗り越えていただきたいものです。
愛着があるのも悪くない
イギリスの児童精神医学者のボウルビィ・エインズワースは、愛着とはある人と特定の他者との間の愛情の絆であり、「時空を超えて二人を結びつける」ものである。
つまり、愛着とは、もしもその対象を失えば深い悲しみに襲われるに違いない関係であると述べています。
好きな人がいて、好きなものがある。
好きな物をとことん愛せる人は素晴らしい人だと思います。