依存症になる前に家族に出来ることは?

子どもの頃に一緒に生活をしていた伯父がギャンブル依存症だったので、依存症にかかると就労や経済状況がどうなるのか、そのことによる家族の苦労を物心ついたころから見てきました。

伯父の小・中学生の頃の話では、成績が優秀で生徒会長を務め、人望もあり、イケメンでモテたようです。しかし成人した頃に、親に暴力を振るって暴れる事があった為、入院させたそうです。

60年程前の話なので今では考えられないのですが、入院患者は白い拘束衣を着せられ、暴れないように個室に隔離され、電気療法や薬漬けにされて、やっと面会が許されて会いに行った時には、口から涎を垂らし、話しかけても頷くのがやっとで、目は天井を見たまま。親の顔が認識できているのか判らない状態だったそうです。

祖母は、伯父が暴力を振るった時に「何で入院させてしまったんだろう・・・」と、ずっと後悔していました。伯父が暴力を振るう理由を理解しようとせずに、いま直ぐ薬でおとなしくなれば良いと思っただけで、一生薬を飲み続けなければいけないとか、人格が変わるとまでは考えていなかったそうです。

祖母は伯父の抱えていた悩みを、最初から「どうにもならないから」と言い聞かせて、取り除く努力はしませんでした。そして病院が伯父には合わなかったのです。

依存症は、静かに忍び寄ります。もしかしたら依存症では?と思うような知り合いが周りに数名いてもおかしくない時代です。

ギャンブル依存症とかアルコール依存症と聞いても、良く耳にする病気だから大丈夫だと思っていませんか?

ギャンブル依存症や買い物依存症は、家族の知らないところで数百万円の借金を重ねるケースや家に生活費を入れないケースがありますし、アルコール依存症はアルコールの過剰摂取で脳の神経がやられて正常な判断が出来なくなる事によって家族に暴力を振るったり、多臓器不全で亡くなるケースもあります。

自分が成長期で背が伸びていた頃を思い出してください。周りの大人から「大きくなったね~」と言われて初めて気が付きませんでしたか?本人に「成長痛でひざの裏が痛くて仕方がない」というような自覚があれば別ですが、背が伸びている実感は無かったのではないでしょうか?

依存症になるには何か理由があるはずです。その人のかかえている「こころの闇」に周りの人が気付いてあげて、行動を起こさないと、最初は「こころの痛み」でも、「〇〇症」、「〇〇病」へと変化していきます。

精神的に不安定になった人間を薬で抑えることは出来るでしょう。でも薬が切れたらどうなるでしょうか?

依存症を自分1人で克服することは難しいです。処方された薬をきちんと飲みながら、家族の方が一緒に「こころの闇」を探して、メンタル面をしっかり支えてあげる必要があります。