就活うつと広場恐怖症

大学生は就職活動が始まるとゼミ以外の日は、ほとんど学校に行くことが無くなると思います。たまたま大学内で友達に会うと「誰々は内定が何社出たらしい」「誰々は大学院を目指すらしい」と言った話題が中心になることでしょう。

企業では人手不足が続き、今年も就職は売り手市場と言われていますが、就活生の気持ちとしては、オリンピック景気はどこ吹く風の就職氷河期なのではないでしょうか。

企業の合同説明会の会場は、日本独特の光景です。就職解禁日前までは、明るい茶髪にカラーコンタクトレンズを付けていた女子大生が真っ黒に髪を染めて、髪型はみんな同じポニーテールにしばり、目にかからないように前髪を斜めに別けるヘアースタイル。

女性は見事に同じ黒のスーツ、黒のパンプス、黒のバッグ、ベージュのコート姿で、男性は黒のリクルートスーツ、黒の靴、黒のバッグです。

同じような服装と髪型の人が数百人もいたら人に酔ってしまっても当然です。酷い場合は、広場恐怖症といって、人込みに行けない症状が出ます。

広場恐怖症は、例えば大規模な合同説明会で個別面談の列に並ばないとエントリーが出来ないのにどうしても並ぶことに耐えられない。胸が締め付けられるように感じて冷や汗が出てくる。

そもそも混雑する電車に乗ることが出来ないので会場に行くことすらできないといった症状です。

就職活動中の親御さんから見たら、先日まで合同説明会に行っていたお子さんがもう説明会は行かないと言い出したら就職しないのかとイライラするでしょうし、もしかしたら就活うつなのではないかと心配するかも知れません。

広場恐怖症は就活うつではありません。親御さんにお願いしたいのは、うつ病では無いから大丈夫だからと「説明会に行かないと就職できないでしょ」とか、「あなたは就職する気が無いの?」などと、決して言わないでやってください。

お子さんは今、心の底から疲れている状態です。就職しないと言っている訳ではありません。親からのプレッシャーで心の負担が大きくなりすぎるとパニック障害を起こす人もいます。

様々なストレスを抱え過ぎると就活うつになってしまいます。どうか追い詰めないでやって下さい。

もし、合同説明会の参加は無理そうだと思ったら、郵送でエントリーシートを送れる会社を探すなど、方法を変えてみる方法もあります。

長い列に並ばなくてもエントリーができる会社は必ず見つかります。

でも、ここでは親御さんはお子さんの就活に口を出さないのがポイントです。

面接時に緊張しすぎて汗ばかり出てきて言葉が全く出てこなくなる人や、面接中に自分で何を話しているかわからなくなってしまう人でも認知行動療法を取り入れるなどして、ちょっとした訓練と考え方の変更で緩和することが出来ます。

今感じているプレッシャーをバネにして、困難に打ち勝つ力を身に着けられたら、生涯にわたってかけがえのない財産になることでしょう。

どうか、「この会社で働きたい」と決意した今の感情を忘れないでください。