今年も売り手市場と言われている来春卒業予定の大学生の就職活動ですが、思うように内定が貰えずに苦戦している大学生が多いのが現状で、実は7人に1人は就活うつになっているといわれています。年々増え続ける就活うつに伴い、うつ病になって自殺する人も増加しています。
親の世代から見れば、オリンピック景気で就職先がたくさんあって恵まれた世代だと思われがちですが、業種ごとの求人倍率を見ればけっして楽観視はできません。有効求人倍率は1.88倍ですので確かに新卒の大学生の数より企業の求人数の方が多いのですが、求人が多いのは建設業、介護サービス業などで、親御さんの希望する大手企業の有効求人倍率は昨年度よりも下がって0.37倍しかありません。
ただでさえ内定が貰えずに自信を失っている時に、親御さんから「今年の就職は売り手市場だから一生安泰な大手企業に就職できないのなら大学に行かせた意味が無い」とか、「どこでも良いから働いて、今までお前にかけてやった分の金を返せ」などと言われたらどんな気持ちになるでしょうか。
友達が内々定を取れたことへのプレッシャーに、早く就職が決まらないとアルバイトができないので、友達と行きたかった卒業旅行の費用を貯めることが困難になったり、これから返済しなければならない学資ローンや、一人暮らしをするためのアパートの引っ越し費用など、金銭面での不安でさらに追い打ちをかけられるのです。
親御さんがお子さんの将来を心配して、大手企業への就職を勧める気持ちも分かります。もしかしたら親御さん自身が就職する時に、親から国が所有する日本国有鉄道や日本郵政公社に就職できたら将来安泰だと言われたが、その夢が叶わなかったのかも知れません。
しかし、今はどんなに大手の企業でも一生涯安泰な企業はありません。親御さんが将来にわたってお子さんの就職先に責任を持てないのなら、就職先にあれこれ口を挿むべきではありません。
ましてや、自分が叶わなかった夢を子どもに託すなどは論外です。また、就職先について親御さんがあれこれ口を挿んで来たとしても、家業を継ぐなども含めて子どもが親の夢を引き受けなければいけない義務はありません。
就活生の方は、親御さんは子どものことを心配するあまり、今年の就職状況の厳しさを知らずに就職先に口を挿んで来ているのを理解してください。そして、そろそろ親御さんも子離れする時期です。
自分の人生に悔いを残さないように、就職先は自分で決めましょう。周りに何を言われようが、自分の人生は自分で決めていいのです。